羅生門の京都・大阪旅行記〜たなかっち編

序章 『発端』
 2月14日の下北沢でのライブ終了後、ベースのイツイはメキシコへ旅立った。これが毎年恒例の「突然バイバイ」である。ほんとに精算終わったら振り返り もせず行ってしまうんだから、彼。まあそんなわけで羅生門は一ヶ月弱お休みになるっちゅうことで、残されたメンバー(ナイスガイ・すーくん、頼れる兄貴・ ゆうじ、そしてもちろんオレこと「たなかっち」)は旅行でもしようかと思い立ったわけさ。
 すーくんは盟友・しんすけを伴って鳥取砂丘に行くと宣言していて(チーム名、ガンダーラコンビネーション)「大阪で会おう」と一言のこし、同月十七日に 白昼堂々西へと旅立った。またまた残されたオレこと「たなかっち」とゆうじは、なかばやけっぱちに大阪へ行くことを決めた。

先鋒 『ゴー ウエスト!!』
 われわれは、ガンダーラコンビネーションの発った翌日のランチタイム、ゆうじんち(ということは「かんじ」の家)に集合した。オレこと「たなかっち」の もちものは、じゃがりこ、ぽたぽた焼き、歯ブラシ、お手製コーヒー(in80年代魔法瓶)、一万八千円、手ぬぐい、パンティー×A、靴下×A、システム手 帳、選りすぐりのCD、、、。ゆうじのもちものは、前田のクラッカー、寝袋、着替え一般、日本地図、、、。ゆうじはいつでも感心するほど準備が良い。ただ 多くの場合、準備しただけで満足してしまう。
 われわれは「親孝行宣言都市 厚木」から東名に乗って西へ西へとひた走った。大井松田ICを早々と抜け、順調に進行中のオレたち。『キャッチミー・イ フ・ユー・キャン』てな具合でドライバーはゆうじ。そして助手席に陣取るのはアゲアゲDJ・オレこと「たなかっち」。この旅の記念すべきファーストナン バーはもちボブディランで『ハイウェイ61』。窓を4分の1くらい開けて100キロの風を感じる。爽快ですな。

次峰 『物語は突然幕をとじる』 
 御殿場を過ぎる頃にはいつのまにかオレこと「たなかっち」によるマイラバ全曲紹介が繰り広げられていた。裾野のサービスエリアで二番手、オレこと「たな かっち」にドライバーチェンジ。(この全旅程にて「たなかっち」は高速の静岡区間しか運転していないため、後に静岡の男とされる。)ズンズン。旅の第一目 的地、浜名湖PAに到着。あいにくの雨ではあったが、浜名湖の大きさに呆然。特にゆうじは未だに160p未満のチビ助であり、彼が受けたショックは、旅の いち同行者に過ぎない私には到底計り知れるものではなかった。
 ここでまたゆうじにバトンタッチ。名古屋に入る時分には外はもうすっかり夕闇のなか。助手席の唯一の楽しみ、周りの車のナンバーチェックが困難に。そこ へガンダーラコンビネーションからの電話。『キョウトデジコッタ、ムカエニキテ。』


中堅 『いざ行かん!京都迷宮!!』
 見渡す限り岐阜ナンバーの中に一台の湘南ナンバー。チャラチャラしてんなぁ。ガンダーラコンビネーションからの一方を受けたわれわれは、マイプラン返上 で京都へと急いだ。滋賀の大津ICで高速に別れを告げ、いよいよ異国の地を踏みしめる。いざ、入京。雨に濡れた道路に、街明かりが乱反射。これが都イ リュージョン。テーマ曲はもちダフトパンクで『デジタル・ラブ』。
 京都の道は、かの長安にならって碁盤目状に区画整備されているがアウェイの我々におかまいなし。かれこれ京都市内で1時間以上さまよっている。逐一ガン ダーラコンビネーションと通じ合ってはいるのだが、彼らも慣れない場所での非常事態に気が動転していてどうにもならない。ゆうじも疲れとストレスのせい か、五条大路でいつもの大技※を出した。さすがに埒がアカンっちゅうことで、ガンコンの二人が収容されている某車メーカー京都営業所の通称・カッパちゃん と通信。カッパちゃんに途中まで迎えに来てもらい、なんとか辿り着いた私達。ガンコンの二人は今までピンと張り詰めていた緊張が緩んだのか、その瞳にうっ すらと涙を浮かべていた。
 今日の曲:ボブディラン、マイリトルラバー、エイスオブベイス、小沢健二、ファットボーイスリム、ランシド、ドクターボンベイ、ダフトパンク、タイマー ズ
 ※信号無視のこと。地元でもよくやる。主に不注意によるもの。

副将 『横浜銀行、応答セヨ』
 昨夜の『坐・和民』での飲食代四千円、東横イン『シンデレラリバティープラン』での宿泊代四千円。厚木IC〜大津IC高速料金八千円、旅先で触れる都の 情緒、プライスレス。
 てんやわんやの一日が終わり翌朝、四人で改めて京都見学とキメこんだぜ。まず初めに向かったのは東山の高台寺だ。しかしオレは拝観料600円を払うこと ができなかった。なぜかわかるかな?勘の良い読者ならお分かりだろうが、序章に書いてあるとうりオレこと「たなかっち」は現金15,000円しか持ち合わ せていなかったのさ。え?銀行のキャッシュカードは?もちろん持ってるさベイベー。だがオレの横浜銀行カードはここ関西じゃ反応しなかったってわけ。だか らゆうじと二人で涙の祇園散策。
 そのあとなけなしの金で一応清水と金閣には入ったが、仏閣ごときで何一つとして私の心は満ち足ることはなかった。そんな鬱蒼とした空気を一新すべく我々 は希望の都・大阪へと向かった。大阪でまず宿探し。また東横イン。皆にチェックインを任せ、オレは単身ATM巡りの旅に出た。コンビニや有名銀行を約15 ほど廻ったが全滅。途方に暮れていた私の前に輝くセブンイレブン。諦めてはいたが、なかば記念受験的なノリでカードをインサート。ビンゴでした。私は萬札 三枚にぎりしめ、すぐさま道頓堀へと駆け出したのです。

大将 『大阪・冬の陣!』
 道頓堀で三人と合流。通りを三往復くらいしてなぁ、ワシらお好み焼きを食すことになったんや。ごっつ旨かったで。飯食っていろんなとこ廻ろかー言うてた のに、みんな腹一杯食ってもうて動けんようになってんな。やけん、たこ焼きこうて宿のある天満橋に戻ったンや。宿について、もっかい呑み直そかー言うてビ ニコンで各々ルービーこうて大阪城へ行ってんやん。ごっつぅキレイやってんなぁ大阪城。ライトアップしっとって、こら日本の宝やで。んなわけで翌日、大阪 城行ったたんや。『お午のドン』や。また、天守閣を見上げながら食らうたこ焼きは最高やで。なぁ社長はん?
 すーくんとワイこと「たなかっち」は大阪城土産の定番、秀吉陣羽織をこうたんや。もうかりまっかー!帰りまーす!さよなら大阪!!!

終章 『帰還』
 『親孝行宣言都市』厚木に着いたのは、夜10時くらいだったろうか。楽しかったなあ、疲れたなぁ。そういや、ゆうじの『前田のクラッカー』誰も食ってな いよね。なんて平塚の『かっぱ寿司』で反省会。
 今回の関西方面の旅は終わる。しかし羅生門の、彼ら一人一人の旅はまだ始まったばかりなのである。ガンバレ羅生門。明日へ走れ。